避妊薬であるピルには感染予防の効果がないため、体液の接触を防ぐコンドームの併用が基本となります。
精液や腟分泌液を介した感染を防ぐうえで、コンドームは最も有効な手段です。梅毒のように皮膚や粘膜が直接触れ合う感染を完全に防ぐことはできませんが、リスクを大幅に低減できます。避妊と感染予防は目的が異なるため、それぞれ対策を組み合わせることが大切です。
性感染症

性感染症とは
早めの検査で安心できることもあります
性感染症(STI/STD)は、性行為や粘膜の接触によって感染する病気の総称です。自覚症状がほとんどないまま進行することも多く、気づかないうちにパートナーへ感染が広がることもあります。若い世代を中心に増加傾向にあり、誰にとっても身近な疾患のひとつです。しかし、早期に検査を受け、適切な治療を行えば、多くは完治またはコントロールが可能です。不安な症状がある方、症状はないけれど心配な方も、まずは正しい知識を持つことが大切です。
こんな症状やお悩みはありませんか?
- おりもの(帯下)の量や色、においの変化
- 陰部のかゆみや違和感、痛み
- 性交時の刺激感や不快感
- 下腹部の不快感や痛み
- 急な発熱や身体のだるさ
- 鼠径部(足の付け根)にあるリンパ節の腫れ
- 全身や皮膚に現れる原因不明の発疹
- なかなか妊娠に至らない状態
- パートナーの感染判明や感染の心当たり

性感染症の治療は
パートナーと同時治療
再感染を防ぐには、パートナーと時期を揃えて治療を完了させる取り組みが欠かせません。当院では感染の疑いがある方へ向け、迅速な検査と診療を行っています。なお、女性専門クリニックにつき男性パートナーの受診や処方には対応しておりませんが、付き添いとしての同伴来院は可能です。再発を繰り返さないためにも、違和感を覚えた段階での早期検査と、男性側の他院受診を含めた二人での同時対策をお勧めします。
※ただし、当院は女性専門となるため、男性は別の病院へお通いいただく必要があります。(付き添いは可能です)
主な性感染症の種類
淋菌感染症
淋菌感染症(淋病)は淋菌に感染することで起こる性感染症です。
男性では比較的症状が出やすい一方、女性では無症状のことも多く、気づかないうちに進行する場合があります。
放置すると不妊症や骨盤内感染症の原因になることもあるため、早期の検査と治療が大切です。
主な症状
- 排尿時の痛み
- 膿のようなおりもの
- 下腹部痛
クラミジア感染症
クラミジア感染症は、日本で最も報告数の多い性感染症の一つです。
症状が軽い、またはほとんど出ないことが多く、知らないうちに感染が広がることがあります。
女性では卵管炎や不妊の原因になることもあるため、定期的な検査が重要です。
主な症状
- おりものの増加
- 排尿時の違和感
- 下腹部の痛み
トリコモナス腟炎
トリコモナス腟炎は、トリコモナス原虫によって引き起こされる感染症です。
強いかゆみや独特のにおいを伴うおりものが特徴で、性交時の痛みを感じることもあります。
パートナー間で感染を繰り返すことがあるため、同時治療が必要です。
主な症状
- 泡状で黄緑色のおりもの
- 強いかゆみ
- においの増加
カンジダ腟炎
カンジダ腟炎は、もともと体内に存在するカンジダ菌が増殖することで起こります。
性感染症に分類されることもありますが、疲労や抗生物質の使用などがきっかけになることもあります。
再発しやすい特徴があるため、体調管理も大切です。
主な症状
- 白くポロポロしたおりもの
- 外陰部のかゆみ
- ヒリヒリとした痛み
梅毒
梅毒は梅毒トレポネーマという細菌による感染症です。
初期は痛みの少ないしこりや潰瘍ができることが多く、自然に消えることもありますが、治ったわけではありません。
進行すると全身に症状が現れるため、早期発見・早期治療が重要です。
主な症状
- 性器や口周辺のしこり
- 全身の発疹
- 発熱
ヒトパピローマウイルス(HPV)
ヒトパピローマウイルス(HPV)は非常にありふれたウイルスで、多くの人が一生に一度は感染するといわれています。
一部の型は子宮頸がんや尖圭コンジローマの原因となります。定期的な検診やワクチン接種が予防につながります。
主な症状
- 性器のいぼ
- 不正出血
- 自覚症状がない場合も多い
性器ヘルペス
性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルスによる感染症です。小さな水ぶくれやただれができ、強い痛みを伴うことがあります。
一度感染するとウイルスが体内に潜伏し、体調不良やストレスをきっかけに再発することがあります。
主な症状
- 水ぶくれやただれ
- 強い痛み
- 発熱やだるさ
HIV/エイズ
エイズは、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染することで免疫力が徐々に低下する病気です。
感染初期は風邪のような症状のみで気づきにくく、無症状のまま経過することもあります。
早期に検査を受け、適切な治療を継続することで、発症を抑えながら日常生活を送ることが可能です。
主な症状
- 発熱、のどの痛み
- リンパ節の腫れ
- 全身の倦怠感
B型肝炎
B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することで起こる肝臓の病気です。
血液や体液を介して感染し、性行為や母子感染などが原因となります。感染しても症状がほとんど出ないことがありますが、慢性化すると肝硬変や肝がんへ進行する可能性があります。早期発見と適切な管理が大切です。
当院では、以下の条件に該当する方は、肝炎ウイルス検査を公費負担(自己負担なし)で受けていただけます。
- 検査時に20歳以上の久留米市民の方
- これまでにB型またはC型肝炎ウイルス検査(治療)を受けたことがない方
主な症状
- 全身のだるさ(倦怠感)
- 食欲不振や吐き気
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
C型肝炎
C型肝炎は、血液や体液を介してC型肝炎ウイルス(HCV)に感染することで発症する病気です。体内に侵入したウイルスは肝臓の細胞内で増殖し、それを排除しようとする免疫の働きによって肝臓に炎症が生じます。この状態が長期間続くと、慢性肝炎へと移行し、さらに進行すると肝硬変や肝がんを引き起こす可能性があります。なお、初期段階では自覚症状がほとんど現れないことが多く、気づかないまま進行するケースも少なくありません。
当院では、以下の条件に該当する方は、肝炎ウイルス検査を公費負担(自己負担なし)で受けていただけます。
- 検査時に20歳以上の久留米市民の方
- これまでにB型またはC型肝炎ウイルス検査(治療)を受けたことがない方
主な症状
- 全身のだるさ(倦怠感)
- 食欲不振や吐き気
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
予防・検査の重要性
性感染症は、症状が分かりにくいこともありますが、
放置すると妊娠や出産への影響や、将来的な体への負担につながることがあります。
早い段階で治療を始められれば、体への負担は小さくて済みます。ところが女性の性感染症は、自覚できる症状に乏しいのが厄介なところです。気づかずに過ごす時間が延びるほど、感染は子宮から卵管へ、そして周囲の臓器へと広がっていきます。
卵管が詰まったり周囲と癒着したりすれば、不妊や子宮外妊娠につながります。しかも性感染症は、一度治っても再び感染するものです。ふだんからの備えが欠かせない理由が、ここにあります。
予防方法
- コンドームを使用する
-

- パートナーと話し合う
-

性感染症は特別な人だけでなく、誰にでも起こり得る身近な病気です。
切り出しにくい話題ではありますが、お互いが落ち着いているときに、避妊方法や過去の検査歴、万が一症状が出たときの対応について話しておくと安心です。あらかじめ方針を決めておくと、いざというときにもスムーズに対応できます。 - 少しでも不安があれば検査を受ける
-

感染の心当たりがある場合は、自覚症状がなくても検査を受けられます。早く発見できれば、それだけ身体への負担を抑えて治療を始められます。
万が一感染が分かったときは、パートナーへの共有と二人揃っての検査・治療が必要です。片方だけが治療しても相手に病原体が残っていれば、お互いに感染を繰り返してしまうためです。
検査について

同じ検査でも、費用の扱いは症状があるかどうかで変わります。おりものの異常やかゆみなど、疑わしい症状が出ているときは保険が使えます。症状はないけれど不安なので調べたい、という場合は自費診療です。
治療について

性感染症の治療は薬が中心となり、病気の種類や進行具合に応じて飲み薬や塗り薬、注射、腟錠などを使い分けて進めます。
大切なのは、薬を使い終えたあとの経過観察です。症状が落ち着いても体内に病原体が残っていたり、再発しやすかったりする病気もあるためです。医師がお伝えする時期に改めてご受診いただき、最後まで完治の確認をお受けください。
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